全248冊のうち「往復書案」

大日本史編纂記録

  本資料は、徳川光圀(1628〜1701)による 「大日本史」編纂にかかわって、水戸・江戸の彰考館や京都の出張所などの間で交わされた往復書簡の控えや写しの留書を中心とするもので、書簡総数は6,000点以上にのぼる。 「大日本史」編纂にあたっては、江戸の諸大名、京都・奈良の寺社・公家など全国的史料調査が行われ、「保元平治物語」「太平記」をはじめとした古記録・古典籍の調査、校訂・考証が行われたが、これらの書簡で言及される人名・組織名はのべ42,810件、古記録・古典籍名はのべ15,159件にのぼる。まさに歴史学・文学、儒学・国学思想など広領域にわたり、元禄期の出版文化の実態なども示す第1級の史料であるとされる。
  現状は、袋綴四つ目綴装の冊子248冊で、総丁数は約1万丁となる。しかしながら、江戸時代の綴装や修復の杜撰さは否めず、長期の保存に問題があるだけでなく、のど部分(本を見開きにした時の真ん中の綴じ部付近のこと)が綴じ込まれて見えない箇所が過半の冊子に及び、無理に見ることは原本を破損しかねない。
 
2018年度からの第1期計画中に計50冊の修復を終えたが、現在第2期10ヵ年計画で55冊の修復を行っており、本年度は3年目となる。


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