松梅蒔絵手箱及び内容品一具         
 縦25.2cm  横31.8cm  高19.1cm

松梅蒔絵櫛笥附属品竝目録共一合(まつうめまきえくしげふぞくひんならびにもくろくともいちごう)

  枚聞神社は、社伝によれば創建は遠く神代に遡り、平安時代の文献にもその名を確認できる古社であり、薩摩国一宮として崇敬を集めている。

 本品は、化粧箱の目録の記載により、大永3年(1523)以前の作であることがわかっている。伝来は不明であるが、古くから同神社の本殿に納められ、「玉手筥(たまてばこ)」あるいは「あけずの箱」などと呼ばれて大事に保管されてきた。箱の表面は漆塗りに金粉をふりかけた蒔絵で、松、梅、鶴、亀などが描かれており、極めて繊細で優美な作りとなっている。室町時代の高貴な女性に使われた化粧箱と考えられており、中世における美術工芸品として貴重な価値を有している。

  昭和62年(1987)に一度修復が行われているが、全体に汚れが付着し、塗膜の劣化も進んでおり、前回修復箇所と思われる部分の錆下地の変色や蒔絵部分へのはみ出しなども見られる状態にあったことから、昨年度より2ヵ年計画で修復が行われており、本年度はその最終年度となる(住友財団の助成は今年度が最初で1年間)。


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