右脇侍像 阿弥陀如来像 左脇侍像
像高 70.8cm 像高 98.8cm  像高 70.9cm
 

 木造阿弥陀如来及び両脇侍立像(りょうわきじりゅうぞう)

  教恩寺は、北条氏康(1515〜1571)の創建とされ、当初鎌倉市材木座にある光明寺の境内北の山際にあったが、延宝6年(1678)に現在の場所に移されたという。

 本像の伝来は不明ながら、寺伝では平重衡(1157〜1185)が鎌倉に囚われた際に源頼朝(1147〜1199)から授かり帰依したものといい、運慶の作とも伝えられている。しかし、作風は快慶に近く、いわゆる安阿弥様(あんなみよう)の仏像で、快慶あるいは快慶周辺仏師による鎌倉時代初期の作と現在では考えられている。3躯とも桧材、割矧造(わりはぎづくり)で、後補の錆漆塗りが全身に施されているが、X線写真により着衣部に切金(きりかね 截金とも。金箔や銀箔を細長い線状等に裁断し、貼付してあらわす装飾文様)および彩色による文様が確認されている。13世紀前半に遡る安阿弥様の三尊像としては鎌倉市内で唯一の貴重な作例である。

 しかしながら、表面の傷みが進行し、また後補部分の剥落が進行してまだら状に見える状態になっており、緊急な修理を要する。2ヵ年計画の修復は、本年度で完了する(住友財団の助成は今年度が最初で1年間)。  


©2023 The Sumitomo Foundation
前ページに戻る