鯉山は祇園祭の山鉾の一つ。鯉山の周囲を飾る「祇園会鯉山飾毛綴」は、重要文化財に指定されており、現在の巡行では複製が用いられている。
前掛、水引、胴掛、見送りには、ギリシャの詩人ホメロスの叙事詩『イーリアス』のトロイ戦史を題材としたタペストリーが用いられているが、これはブラバン州ブリュッセル市(現在のベルギー中部)で製作されたもので、周囲の意匠は16世紀末から17世紀初めにかけての様式と指摘されている。天明の大火(1788)後に現状のように仕立て直されたと考えられ、祇園祭の山鉾を飾る渡来染織品を代表するもののひとつとして高く評価されている。
しかし、龍を表現した刺繍の金糸は、留めている綴じ糸が脆弱化し、各所で切れて欠失しているほか、金糸の外れにより各所が浮いて乱れ、色糸の脆弱化により欠失が各所に生じている状態にあり、修復を要する。 |